水泳検定

水泳検定

3月X日


もうすぐ8才になる息子が、水泳検定を受けた。

必ず合格するレベルに達した子供だけを対象にした検定なので、よほどのことがなければ不合格はない。
けれども、そんな裏事情は知らない子供達は、みな緊張の面持ち。

オランダでは、小学生のうちに少なくとも水泳検定Aを取ることを強く推奨している。
数年前までは、水泳検定に受かることは小学校卒業の条件のひとつで、水泳は授業の一環でもあった。だが予算削減のあおりで、今では親が(ほぼ強制に近い感じ)任意で教室に通わせている。

検定にはA、B、Cとあり、息子が受けたA検定は、最初のステップ。
着衣水泳で飛び込み、15秒以上立ち泳ぎ、12,5m以上平泳ぎと背泳ぎができること、
水着では50m平泳ぎと背泳ぎができること、潜水ができること、などなどが課題だ。

他国での水泳教育の実態はわからないが、オランダの水泳教室の最大の目的は水難事故防止。子供達は、泳ぐ練習だけではなく、不意に水に落ちてしまった時の対処も学ぶ。
運河や湖が多いオランダならでは。
例えば、プールサイドから張り出した特殊ウレタンマットの上を目をつぶって歩いたり、でんぐり返しをして水中に落ちた後、慌てずに、まずは仰向けに浮かぶように教わる。そして、水中で無駄に体力を消耗しないように、足げりだけで方向を変えながら、一番近い岸がどこかを見極めることも習う。着衣水泳も必須。膝丈よりも長いズボンかスカート、シャツ、そして靴を履いて泳ぐ練習は、ほとんど毎月行われていた。

真剣な顔で一生懸命泳ぐ検定Aの子供達だが、きれいに泳ぐことは教わっていないので、すいすいとかっこよく・・・というわけにはいかない。
それでも、足のつかない25mプールを難なく往復。

試験が終わると、先生が父兄に向かって、「A検定では水の中での基本的な動きをマスターしますが、実際の水難事故での実践性や泳ぐ能力はまだ十分ではありあせん。ここで満足してしまわずに、是非ともB検定も取得するよう指導してください」と呼びかけた。実際、多くの小学生が検定Bまで取得している。

子供達に「ギブ・ミー・ファイブ!」と言いながら、免状を配る先生。
この水泳検定試験は家族にとっても大切なイベントとあって、両親や子供の兄弟姉妹のほか、たくさんのおじいちゃんとおばあちゃんも応援に駆けつけていた。
検定後の更衣室は、「お祝いにケーキを買って帰ろう」とか、検定を見に来れなかったおじいちゃんやおばあちゃんに「免状を見せに行こう!」など、お祝い気分で持ちきりだった。