ワールドプレスフォト2012−2

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朝日新聞の写真記者、恒成利幸さん。「一般ニュース・単写真部門」で3位を受賞した。

4月20日からアムステルダムの旧教会で開催されている、ワールドプレスフォト展覧会。
その初日の会場で、二人の日本人の受賞者にお会いする機会に恵まれ、お話を伺った。
二人は、この授賞式のためにアムステルダムを訪れていた。

上の写真は、朝日新聞の写真記者、恒成利幸さん。
恒成さんの写真は、「一般ニュース・単写真部門」で3位を受賞した。
がれきの中で、絶望に打ちひしがれ泣いている女性が写された恒成さんの写真は、アメリカの新聞にも掲載され、世界に広く知られる一枚だ。
この女性とは後日にもコンタクトを取ったとのことで、「今回の受賞のことも直接お伝えしたところ、彼女も喜んでくださいました」と言う。

「被災地で取材をしていて思ったことは、東北の人々は本当に優しいということでした」と恒成さん。
非常事態の中では、我々のような取材陣の存在は、本来とても迷惑なはずです。それなのに、よそものの私たちにも優しい心配りをしてくれました。そして、{どうかこの現状を世に伝えてください}という言葉もいただきました。この展覧会が世界を巡回することで、さらに多くの方に写真を見てもらう機会になります。このような形で被災地の方々との約束を果たしていくことができて、本当に嬉しいです」と話してくれた

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毎日新聞の写真部の記者、手塚耕一郎さん。「スポットニュース・シリーズ写真部門」で一位を受賞。

毎日新聞の写真部の記者、手塚耕一郎さんは、「スポットニュース・シリーズ写真部門」で一位を受賞した。
手塚さんの写真も各国で広く知られ、世界の人々に震災、津波被害の実態を伝えてきた。
「震災の日、青森で、ある写真を撮るためにヘリコプターに乗っていました。飛行中に地震が起こり、大津波警報が出ました。途中、給油のために一時着陸した空港で、まもなく大津波がその空港を襲うと聞いて急いで離陸。そのわずか10数秒後に、目の前に大津波が現れました。目下に広がる惨状から、この津波被害の規模が空前のものであることがすぐにわかりました」と言う。
手塚さんは、その後ヘリを降りるとすぐに被災地へ向かい、着替えも持たないまま、何日も撮影を続けたと言う。

多くのオランダ人にとって、「アラブの春」も、東日本大震災も、徐々に過去の出来事として記憶から薄れ始めている。
そんな折にこのワールドプレスフォト展を見て、写し出された出来事の現在の状況に改めて関心を寄せる人も多いことだろう。

受賞した全作品は、ワールドプレスフォトの公式HPで閲覧することができる。