マウリッツハイス美術館2年間閉館
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マウリッツハイス美術館2年間閉館
2012年4月27日
4月1日、デンハーグのマウリッツハイス美術館が、拡張改築工事のためその扉を閉めた。
再オープンは、2014年中頃の予定だ。
この休館中、同美術館の所蔵作品800余点のうち、約100点はデンハーグ市立美術館での特別展「マウリッツハイスの巨匠達」で。そして約50点は日本へ向かい、6月30日から来年の1月6日まで開催される「マウリッツハイス美術館展」で展示される。
日本のファン待望の、フェルメールの最高傑作「青いターバンの少女」は、6月に日本へ向かうまでの約1ヶ月間デンハーグ市立美術館に展示されて訪れるオランダのファンにしばしの別れを告げている。
このデンハーグ市立美術館「マウリッツハイスの巨匠達展」は、4月28日にオープンした。
マウリッツハイス自慢の珠玉、レンブラントの「チュルプ博士の解剖学講義」はデンハーグに残る。
かつて個人邸宅だった屋敷に、世界的な傑作をぎっしりと詰め込んだマウリッツハイス美術館は「宝石箱のような美術館」とも形容される。
各展示室はこじんまりとしており、レンブラント、フェルメール、ルーベンスなど、最高傑作の数々を身近で鑑賞することができることから多くのファンに愛されている。
その反面、距離を置いて作品を鑑賞することはできず、天井まで壁いっぱいに絵を並べた展示室もあり、各作品をしっかりと鑑賞するには難もある美術館だった。
フェルメールの傑作、そして彼が描いた唯一の風景画「デルフトの眺望」(写真中央)もデンハーグに残る。
とても落ち着いた、美しい展示。
マウリッツハイスでは、いつも近距離から見ていたせいか、筆のタッチなどディテール中心に鑑賞していた感がある「デルフトの眺望」。
市立美術館の広々とした空間でたっぷりと距離を置いて眺めなおしてみると、まるで別の作品かと思うほど印象が違って見える。
こんなにも奥行きのある風景画だったのかと、驚きの声を上げる来館者もいた。
「デルフトの眺望」の魅力を知り尽くしたい人は、ぜひこの市立美術館でも鑑賞してみてほしい。今まで気づかなかった新たな「表情」を発見できるはずだ。
ヤン・ファン・デル・ハイデンが描いたアムステルダムの風景画(1670?)は、ウルトラマリンの空が光を放つかのように美しい(左上)。だがマウリッツハイスでは、階段室にあるギャラリーの天井近くに展示されていたため来観客の注意を引くことはあまりなかった。
アブラハム・ブルマートの作品は(左下)は、古代ギリシャの小説「エチオピア物語」の一場面をモチーフにした珍しい絵だ(1626)。この作品もファン・デル・ハイデンの風景画同様、非常に高い位置に展示されていたため、テアゲネスとカリクレイアの物語を描いたディテールを読み取れた来観客は多くはなかっただろう。
デンハーグに住み、よくマウリッツハイスへ行っていたという来館者の一人が、「やっぱりマウリッツハイスで見るのが一番。ここのように{いかにも美術館}という大きな空間の中では、作品との間に隔たりを感じてしまいフラストレーションが残る」と話していた。
私は逆に、市立美術館での展示のほうがそれぞれの絵を鑑賞しやすく感じたし、なにより絵が美しく見えた。マウリッツハイスの展示室には大きなシャンデリアがかかっていて、それが絵に反射していたのもとても気になっていたのでしっかりと絵を観るよいチャンスだと感じた。
ちなみにこの美術館は、ピート・モンドリアンや「デ・スタイル派」のコレクションでも有名。マウリッツハイスのコレクションを合わせると、中世から近代までの6世紀分の芸術を一望することができる。

マウリッツハイス美術館の館長エミリー・ゴーデンカーさん:
「この青いターバンの少女は、フェルメールの最高傑作です。今、一時的にマウリッツハイスからこの市立美術館に引っ越してきましたが、環境が変わっても彼女の魅力は全く動じることがありません。彼女の輝きは、多くの人々を魅了すると確信しています」と笑顔。





