クンストハル美術館から、7点の名画が盗まれる

10月16日午前3時頃、ロッテルダムにあるクンストハル美術館から7点の名画が盗まれた。

盗まれたのは:
パブロ・ピカソ Tête d’Arlequin’ (1971)
ヘンリ・マティス La Liseuse en Blanc et Jaune (1919)
クロード・モネ  Charing Cross Bridge, London (1901)
Waterloo Bridge, London (1901)
ポール・ゴーギャン Femme devant une fenêtre ouverte, dite la Fiancée  (1988)
メイヤー・デ・ハーン Autoportrait (circa 1889 – ’91)
ルシアン・フロイド Woman with Eyes Closed (2002)
クンストハル美術館のオープン20周年記念を祝って開催されている特別展「アバンギャルド」からの作品で、全て個人蔵。

これらの作品の想定総額は、5千万ユーロ〜1億ユーロと言われている。

クンストハルは独自のコレクションを持たず、特別企画展のみを開催する美術館だ。
建築の設計デザインは、かのレム・コールハースによるもの。
建築の斬新さだけではなく、都市計画的見地から見ても傑作と言われるクンストハルは、正面を通る大通りと背後に低く広がる公園の接合点で、高低差のある両域を繋ぐ役割を果たす。
建物公園側は通りからは見えにくい上に、公園は夜中人通りがない。

盗難の目的は、絵画の身代金が目当てとみられる。
保険会社との交渉の末作品が戻ってくることもあるが、その確立は3〜4割で、平均7年を要するらしい。

盗難時、館内にはスタッフはおらず、警報システムのみが稼働していた。
美術館側は、今展示のセキュリティーは保険会社もこれで十分としていたと言う。

美術館警備の専門家は、「絶対に泥棒が入れない美術館をつくるのは不可能。例え、それが実現したとしても、それは来館客にとっては魅力のない空間となるだろう」と語っている。
ただ、今回のような名画を複数展示するのなら、「開けた空間に作品をずらりと並べるのは好ましくない。万が一に備えて、作品に到達するまでに複数の警備の壁を作るとか、特に高価な作品は別室に展示するなど、侵入後にアクセスできる作品数を減らす対策が必要だった」と見る。

警察は、いくつかの目撃者による証言を入手したとのことで、今後の捜査の有効な決め手になれば、と期待を寄せる。

10月17日、クンストハル美術館は、通常通りに開館している。

Text & Photos of Kunsthal © studiofrog 2010~2012