世界初の同性婚から15年
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15年前の4月1日、アムステルダムの市庁舎で世界初の同性婚の結婚式が執り行われた。
この日、4組の同性カップルが婚姻届を提出。当時市長を務めていたヨブ・コーヘンが式を執り行った。
同性結婚の法制化は、2001年のオランダを皮切りに、2003年ベルギー、2005年スペイン、カナダ、2006年南アフリカ、2009年ノルウェー、スウェーデン、2010年ポルトガル、アイスランド、アルゼンチン、2012年デンマーク、2013年ニュージーランド、ウルグアイ、フランス、ブラジル、2015年ルクセンブルグ、アメリカ、アイルランドと続き、2017年にはフィンランドでも実現するらしい。
2001年4月1日から2015年末までに正式に結婚した同性カップルの数は21330組。
最初の2年は男性同士が、2009年以降は女性同士の夫婦が増えている。
同性の夫婦も両親として養子をとれるようになったし、いかなる差別も違法であるから、オランダのLGBTは幸せに暮らしている・・・と思いきや、実は課題は山積みだった。
多文化社会とホモフォビア
LGBTの人権擁護のためにさまざまな取り組みをするCOCという機関が発足したのは1946年。
その昔はオランダでも罪人扱いされていたLGBTの人権をたゆみない努力で改善し、社会の意識変換を推し進めていた。
その功績は数え切れない。
例えば:
2012年、学校でLGBTに関する情報提供を義務化
2014年、地方自治体は同性愛カップルの結婚式を執り行うことを拒否する人を採用しないことを決定
オランダに来たイラク、イランからのLGBTの難民が、祖国へ送還されないよう配慮
などなど、上記はほんの一例だ。
ある統計によれば、1968年にはLGBTに対して批判的な見方をしていた国民は36%だったが、2008年には4%にまで下がった。
だが、寛容の国と名高いオランダでも、LGBTが誰からも、そして心から受け入れられるようになる日は来ない。
この多文化社会では、それぞれの文化が持つ価値観が根本的に異なるし、時代に併せてシフトしていくスピードや方向性も異なる。
そこで重要になるのは、法律で平等が確保され、差別が禁じられること。そしてそれがどれだけ自分の価値観と異なるとしても例外なく律していくこと。明白な論理であるはずなのだが、COC発足から70年たった今でもホモフォビア関連の傷害事件はなくならない。
一見単一文化に見えても、社会は必ず異なる文化から成り立っている。
ましてオランダは、180カ国以上の国籍が混在する正真正銘の多文化社会。
LGBTだけではなく、移民や難民、宗教、国籍等々の違いの他、最近は収入格差も広がり、社会には「あなた」と「わたし」を区別する要素が溢れている。
それを摩擦や差別、極化へと発展させないためには、社会の成熟度をあげる必要がある。茨の道を行くような進化が求められているわけだ。
政治家を含むオランダの大人達は今、果たしてそんな成熟した社会を目指しているだろうか?
ニュースを見るたびに、大きな疑問がわいてくる今日この頃である。
ウィキペディアに掲載されている地図を見ると、同性愛が重刑、終身刑、死刑になる国がなんと多いこと。
どの国にいるのかが運命を分ける。そんなことを再認識してしまう。