ディア・アムステルダマース

ディア・アムステルダマース、悪いお知らせがあります

1月27日、ファン・デル・ラーン市長(1955)から市民へ宛てたオープンレターはこう始まった。
肺がんが転移していて、「希望的になる理由が見当たらない」診断結果が出たという報告だった。
そして責任をしっかりと果たせるように手配をしながら、「まだしばらくはみなさんの市長でいます」とあった。

ファン・デル・ラーン市長は2010年、スター的な雰囲気のあった前コーヘン市長の後任として就任。前任者のような華やかさはないものの、人々の声に公平公正に耳を傾け市民に寄り添う父親のような人物像で、人気と信頼を得ていた。

「アムステルダマー」とは、アムスっ子のこと。
「ベルリナー」や「ニューヨーカー」と同じだ。

ファン・デル・ラーンは、この街に住む全ての人々に「アムステルダマー」というアイデンティティを与えて、それを育ませた。例えオランダ人ではなくても、この街で暮らし社会と繋がる全ての人々を、いつも親愛の念を込めて「アムステルダマー」と呼んでいた。

「ディア・アムステルダマース、悪いお知らせがあります・・」
約84万人の市民に宛てたこのオープンレターを、私も受取人のひとりとして、心して読んだ。

(写真は、2014年のゲイパレードの会場にて。市民に混ざって、ビールを片手に見学していたファン・デル・ラーン市長)